舌下免疫療法
舌下免疫療法とは?
- 根本的な体質改善が見込める治療
- 初回の舌下投与だけクリニックで行い、30分間異変がないか見る。2回目からは自宅で行う。1日1回、3〜5年の継続が必要
- 月1回の定期通院が必要
- 約8割で改善みられる。2割は完治。1〜2割で効果のない方も
- 副作用は軽微な口腔症状が約半数で出る。開始1ヶ月以内に多い
- 非常に稀ではあるがアナフィラキシーに気をつける
- 治療終了後に効果が減弱する人もいて追加治療が必要になる場合も
アレルゲン(スギやダニ)を薄めたものを1日1回長期間(1年365日、3〜5年)舌の裏に1分間保持して飲み込むという方法で体内に取り込み、アレルギー反応が起こりにくい体質にする治療です。
アレルギー性鼻炎の人は、スギやダニに過敏に反応してしまい、その結果として鼻水やくしゃみが出ます。
舌下免疫療法とは、長期にわたって微量のアレルゲンを入れ続けることによって、それらに対する慣れを生じさせて、アレルギー反応が鈍くなり、ダニやスギ花粉に暴露してもアレルギー症状が起こしづらくなるのを目的とした治療です。
従来のアレルギーの飲み薬や点鼻薬や点眼薬などの対症療法(症状を抑えるだけの治療)とは違って、うまくいけば根本的に治って抗アレルギー薬を減らせたり、飲み続ける必要がなくなるかもしれない治療です。
舌下免疫療法のよくある質問
実際にはどのくらいの人に効果がありますか?
2014年からスギ、2015年からダニに対しての舌下免疫療法が、たくさんの施設で行われています。
- 20%根治(薬が全く不要になる)
- 30%著効(薬がほとんど不要になる)
- 30%有効(薬が減らせる)
- 10〜20%無効(あまり改善みられず)
つまり80%有効、10〜20%無効です。試してみる価値はあります。
効果はどのくらいで出るのですか?
すぐに効果の出る治療ではありません。個々によって効果が出てくる期間は異なります。最低でも数ヶ月はかかり、1年以上かけて徐々に効果が高まっていくイメージです。根気よく継続していくことが大事です。
舌下免疫療法中は、抗アレルギー薬は内服するのですか?
効果が出るまでは、今までと同じように症状がある場合は、抗アレルギー薬は内服してください。効果が出てきたら少しずつ減らしていきましょう。
どういう人におすすめですか?
- 1年中鼻水、鼻づまりがひどく薬を切らせない人
- 薬を色々試したが、いまひとつ効かない人
- 薬を一生飲み続けることに不安を覚える人。なるべく薬を減らしたい、あるいは飲みたくない人
- 鼻炎症状がひどくて勉強や仕事など生活に支障をきたしている人
- 普段、車の運転をしなければならないのに、重症で添付文書に「自動車運転は従事させないこと」と書かれている抗アレルギー薬以外は効かない人。
何歳から何歳まで、その治療は可能ですか?
年齢制限はありませんが、舌に溶ける錠剤を1分間保持する必要があるため、当院では、それが可能な6歳以上から行っております。副反応の観点から、親がしっかりと監督できる患者さんに絞っています。65歳以上の方はあまり効果がないという報告が多いです。
通院はどのくらいの頻度ですか?
2回目の受診は、初回投与してから2週後。そこで副反応が出ていないか確認します。その後は1ヶ月に1回の通院となります。
費用はいくらぐらいかかりますか?
3割負担の方は、1ヶ月2000円〜3500円ぐらいです。(診療費+薬代)
この治療を受けられない人はいますか?
- 重症な気管支喘息の方
- 重い心臓疾患のある方
- 癌の治療中、免疫系の病気のある方
- ステロイドをずっと内服しているか方
- 妊娠中に開始は不可
- 感染して発熱している方に開始は不可
- 5歳未満
治療を受けられるけど、注意が必要な人はいますか?
- 以前にアレルゲンを使った治療(皮下注射減感作療法)や検査(パッチテスト)でアレルギー症状が出たことのある方
- 気管支喘息の方
- βブロッカー(高血圧)、三環系抗うつ薬を内服している方
スギ花粉やダニのアレルギー検査をしたことありませんが、治療受けられますか?
本人が「私は花粉症に違いない」と思っていても、実はアレルギーではなかったというケースもよくあります。(寒暖差による鼻炎など)
スギやダニにアレルギーがない人には当然ですが全く効果はみられません。治療前には必ず検査でダニやスギが陽性であることの確認が必要です。過去に検査したことのある人はその結果を持参して下さい。
副反応について
- 服用後30分は注意する
- 服用開始してから1ヶ月間は注意する
- スギ花粉の時期は中止する(スギ花粉舌下免疫)
軽微なもの 5割くらいの人に起こる
- 口の中のかゆみ、違和感、腫れ
- くしゃみ、鼻水
- 耳、眼のかゆみ
- 下痢、腹痛、吐き気
これらは、治療開始直後に多く、1ヶ月以内に集中します。だいたいは短時間で改善し、そのうち出にくくなります。
重大な副作用(アナフィラキシー)
極めて稀で1億回に1回といわれています。死亡例の報告はありません。ただし100%ないとは言えませんので、万が一そうなった時の対応をあらかじめ知っておくことが必要です。症状は以下の通りです。
- のどがつかえて息苦しくなる
- 喘鳴、咳が出て呼吸が苦しくなる
- 立ちくらみ、意識がおかしくなる、血圧が下がる
- 腹痛、下痢、嘔吐
- 体に蕁麻疹が出る
これらの症状が起こったら、すぐに医療機関に相談してください。緊急時は初回にお渡しする、舌下免疫治療カードの緊急連絡先に連絡してください。